歯周病とインプラントの関係
歯が抜ける主な原因が歯周病
インプラントは、抜け落ちて失ってしまった部分に人工の歯を取り付ける治療です。
ではなぜ、そもそも歯が抜けてしまうのでしょうか?
その答えは歯周病だったのです。
日本では成人の約80%以上もの人が歯周病であるとのデータが出ています。
(平成23年 歯科疾患実態調査 厚生労働省)
特に55歳~64歳の人は84.6%という高い数値になっています。これはすなわち5人に4人は歯周病であるということです。
しかし、他に注目すべきは15歳~24歳の人でも70.3%の割合で歯茎に炎症を起こしているのです。
つまり、歯周病に対しては年齢の若い内から予防の意識を持たなければならないといえます。
歯周病ははじめのうちは全く自覚症状がありません。痛みもほとんどないので気づかないうちに周りの骨が溶け、歯を支えている組織が破壊されて、最終的に歯が抜け落ちてしまうのです。
歯周病が進行していく流れ
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歯肉溝(歯と歯茎のすき間)にプラークが溜まっていき炎症を起こしている状態です。触れたり刺激を受けると出血することもありますが痛みはありません。
こちらはまだ歯磨きによって健康な状態に戻すことのできる段階です。 -
歯肉溝が深くなり、やがて歯周ポケットを形成します。
そこから炎症が歯の根に向かって拡がっていきます。歯のグラつきや痛みはまだほとんどありません。 -
歯周ポケットが更に深まり、歯根膜(歯茎内部の骨と歯根との間の膜)が歯の長さの約半分ほど破壊されることによって、歯がグラグラと揺れ始めます。ここに来て初めて硬いものを噛んだりしたときに痛みが出てきます。
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炎症がさらに拡大し、歯を支えている歯茎内部の骨が3分の2以上溶けてしまいます。
これにより歯周ポケットは非常に深くなり、歯のグラつきも大きくなります。
付け根がむき出しで、歯が長く見えるようであればこの段階であるといえるでしょう。
根本となる原因を絶つことが大切
まずは正しい知識から
歯を失ってしまう3大要因は歯周病、虫歯、破折(歯が割れること)であると言われています。
ですが先述の通り、最大の原因は紛れもなく歯周病です。
ではその歯周病の原因は何なのか?それはずばりプラーク(歯垢)です。
歯周病とはこのプラークの中の原因菌が歯肉溝へ入り込み、感染することによって起こる炎症性疾患なのです。
炎症が拡がるとこの細菌が歯茎内部の骨を吸収し溶かしてしまいます。支えを失ってしまった歯はグラグラと揺れ始め、やがて抜歯の必要に迫られます。
また、プラークは取り除かないでいると歯石へと変わり非常に強固に歯に付着します。
こうなるともはや歯ブラシでは除去できなくなります。
そこで歯科医院にて歯石を除去した上でプラークを溜め込まないよう適切なブラッシングが必要になってくるのです。
およそ3~6ヶ月に一度検診を受け、歯石を除去や口腔内クリーニングをすることで非常に効果的な歯周病予防になり、歯の残存率は飛躍的に向上します。
また、歯周病は生活習慣病の一種だとも言われるように、喫煙や偏った食生活、ストレスや誤った歯みがき法などもこの病を引き起こす要因の一部になっていることは確かです。
しかし、これらは正しい知識とこまめなケアで改善していくことはできます。
歯周ポケット内の歯石も除去
歯周ポケットの中は歯周病原因菌の繁殖の場となり、 歯石が付着しやすくなってしまいます。
このような歯ブラシでは取り除けない歯石を専用器具で除去していくことをSRP(スケーリング・ルート・プレーニング)といいます。
細菌が寄り集まってできたバイオフィルムと呼ばれる構造体は強い毒素を持ち、歯茎へのダメージも大きいためSRPによってこうしたバイオフィルムを破壊し、歯石を除去して歯周ポケット内表面もキレイにしていきます。
当院は自分の歯を大切にしたいと願うあなたのその気持ちを大切にしています。
一緒に頑張っていきましょう。
あなたはインプラント周囲炎をご存知ですか?
インプラントを埋め込むことによって失った派の治療は終了します。
しかし、日々のケアを怠るとプラークの中の細菌が繁殖して歯茎で炎症を起こしてしまいます。
この症状どこかで聴き覚えありますよね?
そうです、インプラント周囲炎とはインプラント治療した部分に起こる歯周病のことなのです。
この症状も適切なブラッシングや歯石の除去によって改善されますが、それをせずに放置をさらに続けていると歯石や細菌が深部に入り込み、インプラントと歯茎の間の溝も深くなっていき、ついにはせっかく入れたインプラントを失ってしまうなんてことになりかねません。
そうならないために、インプラント治療が終わった後も他の天然歯と同じように毎日・毎食後にケアを行って大切にしてあげてくださいね。